MANTARO's Trickfest 3 Report

文・写真:マンタロウCheap Track Guitarist)     Aug. 24 - 28, 1999

CHEAP TRICK F.C.会誌 『SPEAK NOW vol.24』 より


◇◆ 後編 ◆◇
TRICKFEST3

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Q&A/ロビン編

   Q&Aの一番手はロビンです。ステージにイスとロビンのギター5本、水色のヘイマーの12弦ギター、ヘイマーのテレキャスター、ウァッシュバーンのエレ・アコ、タカミネの12弦のアコースティック・ギター、リッケンバッカーの450モデルが並んでいます。ロビンは青いサテンのシャツとブルージーンズで登場。笑顔で色々と質問を受けていました。

Q* ライブで歌うのが難しい曲は?
A* Tonight It's You はライブで歌うのはとても難しい、Shelterは精神的に歌うのが辛いんだそうです。ロビンのお父さんが亡くなって作った歌だから。

Q* 共演したいミュージシャンは?
A* Jeff Beck、 Pete Townsent、Kieth Moon、全盛期のThe Whoとやりたい。

Q* 好きなチープのアルバム、ミュージシャン、プロデューサーは?
A* アルバムはファースト。ミュージシャンはRoy Wood、プロデューサーはJack DouglasとGeorge Martin。

Q* ライブの前にウォーム・アップはするの?
A* 数年前にフロリダで、交通事故で怪我をしてからは、ステージに上がる前に一時間位ウォーム・アップをしているけど、それまではしたことがなかった。

など、沢山の質問がされました。途中で、ロビンの娘のHollandさんと長男のIan君がステージに現れて、紹介されました。最後に末息子のRobin Taylor Jr.ちゃんが、ロビンのリッケンバッカーで「I Know What I Want」を弾いて、最高に盛り上がって、一時間のロビンの時間はアッという間に終了。

Q&A/トム編

   15分位の休憩の後、ジャカジャ~ン、ジャカジャ~ン♪と、分厚い12弦ベース・サウンドと共に派手派手なグリーンのスーツで決めた、トムが登場。5分程、ステージを左右にゆっくり歩きながらベース・ソロを披露した後、ステージの一番前に腰を下ろしてトムのQ&Aのスタート。トムと言えば、やはり12弦ベースについての質問が多いです。

Q* どうして12弦ベースを弾きだしたの?
A* 大きくて広がりのある音がほしかったから。

Q* 12弦ベースの弦を増やす予定はあるの?
A* 前に18弦ベースを作ったことがあるが、ネックが太くてとても弾きづらいので、12弦のままでいくよ。

Q* 12弦ベースと4弦ベースではどっちが好き?
A* 4弦ベースだよ。弾くのが楽チンだから(笑)

Q* トムのようなベース・サウンドを出すにはどのようなピッキングをすればいいの?
A* ダウン・ピッキングで弾く練習をしなさい。

実際に、いろいろとベースを弾いて見せて答えていました。客席と冗談の言い合いなどしながら、トムの持ち時間の一時間もアッという間に終了。

バニーのドラムクリニック

   一時間ちょっとの休憩をはさんで、午後2時からバニーのドラム・クリニックの時間です。バニーはハワイアン・シャツで登場しました。ステージ前方にセッティングされたドラム・セットに向かい、挨拶代わりのドラム・ソロでスタート。バニーのドラム・プレイはいつ聞いてもカッコいいです。
   まずは、バニーがチャック・ベリー、ボ・ディドリー、ビートルズなど彼が影響を受けた、色々なドラマーのスタイルを、実際にドラムを叩きながら説明してくれます。

The Who-I can see for males
Beatles- The End
Ventures - Let Go (ベンチャーズがバニーが初めてライブを観たバンドなんだそうです)
The Move

などの曲のドラムパートやソロを実際にプレーしながら、同じ、ビートでもドラマーによってスタイルが違ってくるってことを教えてくれました。

Q&A/バニー編

   クリニックの残り20分弱がQ&Aになりました。バニーはチープトリックのデモ曲やライブ音源を管理しているので、そういった質問が多かったです。その答えの一部です。

Q* 1st, In Color, Heaven Tonightがリマスターされたように、他のアルバムのリマスターされる予定は?
A* たぶん、2000年にDream Police, All Shook Up, Lap Of Luxuryのリマスターが発売される。エピック・レコードは、Greatest Hitsを手直しして発売したがっていて、それにはThe Flameのライブ・バージョンや他の曲のデモ・トラックが収録されるらしい。

Q* 昨日、演奏した、カバー曲はCD化して発売しないの?
A* いつか発売するかもしれないが、著作権などの問題があって難しい。

   ドラマーでもなくてもドラムの素晴らしさを感じられた、バニーの素晴らしいドラム・クリニックの一時間もあっと言う間に終了。

リックのギタークリニック

   クリニックの最後のリックの番です。ドラム・セットが片づけられた後、ピックがギッシリと貼り付けられたマイク・スタンドとイスとその横に58年製のレス・ポール用意されています。
   ブラウンのジャケットにリックの新しいピックのデザインだと言う(ステージに出てきた時に本人が言っていた)R'sの文字がピックの形に沢山プリントされているTシャツで登場。「TF3にみんな参加してくれてありがとう!」と言ってからイスに腰掛けるリック。
   まず、始めに、今回、ツアーで使っているギター全部をステージに並べさせて、みんなに見せてくれました。リックのギターもチープのファンにはとても興味のあるものなので、しばらく写真撮影大会になっていました。

Q* 今は何本のギター・コレクションを所有しているの?
A* だいたい200本位。

Q* 曲はどこで作るの?
A* リックの家には小さいスタジオがあって、そこで作曲しているんだそうです。そこで作ったデモ・テープはほとんどがリックが歌っているそうです。

Q* 一番気に入っているギターは?
A* ここにある58年製のギブソン・レスポールと言ってスタンドに立ててあったギターを手に取ってギターを少し弾いてくれる。

Q* 新しいアルバムは?
A* ニューアルバムのためにチープは16曲、レコーディングしたよ。こんな曲だよ、と言ってギターを弾きはじめたけど、忘れちゃったと言って笑って終わり。

   Q&Aの途中で明日のロックフォードでのコンサートには息子のダックスとマイルスも演奏するよと言ってステージに2人を呼びみんなに紹介してくれました。二人ともいい男でダックスは自らのバンドを率いて活動しています。
   ずーっとピックを投げながら質問に答えていた、リックのクリニックは彼の冗談を交えた、とても楽しい笑いの絶えない時間でした。いつまでも終わりそうもないからか、マネージャーのカーラさんが終わりを告げに来て終了。
   すべてのクリニックが終了した後は、Class of '99と言ってトリックフェスト参加者とチープのメンバー、スタッフの全員の記念写真の撮影です。和気あいあいな雰囲気で撮影が終わった後にオークションの結果発表と翌日のロックフォードに行くための説明があって終了。
   その後は、9月にDVD発売予定のMusic for Hangoversのビデオ上映会。収録曲はCDと同じですが、大画面と大サウンドのチープは凄い迫力で素晴らしいライブ映像でした。これで、27日のスケジュールはすべて終了。TF3も今夜が最後ってこともあり、ホテルのクラブでは一晩中、チープの曲でみんな飲んで歌って踊り狂っていたのでした。

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チープトリック25周年コンサート

   会場に行く前に、ロックフォードの近くのアーリントンという街にある、今夜、泊るホテルにチェックインを済ませ、少し休憩してから、また、車に乗り会場に出発。一時間程で、チープ・ファン憧れの街ロックフォードに到着。ヨーロッパ調の街並みで、ところどころにある、カフェには 「Welcome Cheap Trick Fan!」などと書かれた垂れ幕が掛っていたりして、さすが「チープの地元」と感心しながら、車の窓から街を観ている間に会場のDavis Parkに到着。
   もうすでに、会場には入場するための長蛇の列ができています。無事、入場して、開演を待つばかりです。トリックフェスト3参加者には特別に席が用意してあるので、周りはみんな顔馴染みばかりです。トリックフェストの続きみたいで楽しい雰囲気です。Davis Parkは大きな河川敷(?)にある大きな公園です。そこに特設ステージが設営されています。客席もギッシリ大勢の人で埋まっています。1万5000枚の前売り券はソールドアウト、それに加えて立ち見のお客さん、さらに川にはモーターボードやクルーザーからコンサートを観ることができるので、2万人以上の人が集まっていたみたいです。

第1部

   午後8時過ぎ、陽も落ち始めた頃、ステージにチープのメンバーが登場。リックはピン・ストライプのグレーのスーツ、ロビンは白のスーツに紫のシャツ、トムも白のスーツ、バニーは薄い水色のシャツで登場。
   オープニングはドンドン、スッタンタ、聞き慣れたバニーのドラムスで始まる、「Ain't That A Shame」続いて「I Want You To Want Me」、ロビンが歌の出だしを間違えたりしたけれど、会場は「クライン、クライン♪」の大合唱です。リックの挨拶が入り、3曲目は「Oh Candy」、続いてテレビドラマ『That 70's Show』の主題歌の「In The Street」。大合唱になった「Voices」、これは名曲ですね。
   今回のショーの最初のスペシャルゲストの紹介で現れたのが、トムの脱退後、チープの80年代を支えたベーシストのジョン・ブラント氏。ジャズ・ベースを抱えて登場して、「If You Want My Love」「She's Tight」の2曲を演奏しました。本当のところ、日本の僕たちにはあまり馴染みは無いけれど、アメリカのファンたちは拍手で彼を賛えていました。
   そして、次にもう一人懐かしい(?)ゲスト、サポート・キーボディストのトッド・ハワース氏をリックが紹介して「Can't Stop Falling Into Love」。たぶん、この曲は、バステッド・ツアー以来の演奏していなかったんじゃないかなぁ。そして「Gonna Raise Hell」、この曲は、バニーの重いビートの後にトムの分厚い12弦ベース、そして、リックのギターが絡んでロビンのシャウトしたボーカルもスゴイ、やっぱりライブで聞くと鳥肌が立つほどカッコイイ曲です。これで、第一部が終了。

第2部

   15分程の休憩の後、ステージはアコースティック・セットの用意がされ、メンバーも着替えて登場。リックはジョン・レノンのTシャツに黒のスーツ、トムはクリームのジャケットに薄いピンクのシャツ、薄い水色のパンツ。
   一曲目は「I Can't Take It」、リックの息子のダックスとバニーの甥っ子のジョナサンとバニーがパーカッションを演奏する。ダックスとジョナサンがステージを離れたあと、次の曲は「Take Me To The Top」。
   そして、ロビンが彼の長男のイアン・ザンダー君を紹介すると、イアン君はウクレレを持ってステージに現れ、「It All Comes Back To You」を演奏。続いて「Tonight It's You」ライブで聞くのは初めてなので、聞き入ってしまいました。
   この次には、ステージにロビンの母校のThe Harlem High Schoolのコーラス隊、Rockford Symphony Orchestraの4人のストリングス、そして、ダックスがドラムス、イアンとマイルスがギターでチープトリックと一緒に演奏しだしたのが、ロビンのソロ・アルバムからの「Time Will Let You Know」。
   イントロが始まり、ステージの左側から現れたのは、ロビンの長女のホーランド・ザンダーさんです。彼女が現れると会場は大喝采です。凄く綺麗で可愛いんですよ。ロビンとのデュエットも感動的なものでした。
   ここで、アコースティック・セットから通常のエレクトリック・セットにチェンジ。ステージに、チープのメンバーとストリングスの4人だけが残り、次に演奏されたのは、リックが奥さんのために作った曲「World's Greatest Lover」。ボーカルをとったのは、なんとリック。バックのストリングスがこの曲を素晴らしく引き立てていて、エンディングのリックのギターソロには泣けました。
   続いて「The Flame」。なんだかんだ言っても、チープの歴史からは外すことのできない曲ですよね。そして「Stop This Game」「Dream Police」と演奏。ストリングスが加わることによって、スタジオ・バージョンが見事に再現されていました。素晴らしい!
   ここで、第2部が終了。

第3部

   15分程の休憩の後、ステージにメンバーが戻って第3部の開始。ロビンは金色のちょっと派手目なジャケットにブラウンのTシャツ、トムは緑のスーツに赤いシャツに着替えて登場。
   第3部の一曲目はトムのボーカル曲「I Know What I Want 」みんなで大合唱!   次は久々に聞く「Woke Up With A Monster」続いて「Never Had A Lot To Lose」「オッホホッ~♪」で、これまた大合唱、2万人の「オッホホッ~」は凄かったです。
   そして、リックの紹介でスペシャル・ゲストのスラッシュ(元ガンズ&ローゼス)がリックのTシャツを来て登場。「You're All Talk」を競演。リックとのギターの掛け合いは圧巻でした。
   続いて、ジョン・レノンとレコーディングした曲のI'm Losing Youを演奏。マイルスがリックのジョージ・ハリソン・モデルのストラトキャスターを持ってステージに再び登場し、ボーカルを担当しました。予定ではジュリアン・レノンがゲストとして参加して歌うはずだったとリックが説明していました。「Hard To Tell」の後、リックが5ネックを持って登場。「Oh Claire」~「Surrender」、もう、みんな大盛り上がりで「オーライ!オーライ!」の大合唱大会でした。
   ここで、メンバーはステージを降りますが、アンコールの大コールに笑顔でメンバーが戻ってきてました。アンコールの一曲目は「Just Got Back」、バニーの両サイドで2人がサイズの小さいドラム・セットを一緒に叩いています。そして、もう一人リックのチェッカーボード・エクスプロラーを持ってビリー・コーガン(スマッシング・パンプキンズ)が登場して競演しました。
   そして、もう一人のゲスト、エバークリアのアートが紹介されて「Day Tripper」を演奏しました。これまた、物凄い盛り上がりでした。そして、ステージいっぱいに鼓笛隊が現れて、始まったのが「Who d'King」、リックがメインのボーカル(?)を取り、ステージと客席が大合唱でした。最後は、鼓笛隊と共に客席の真ん中に作った花道をチープのメンバーが歩いてステージを降りて、この25周年コンサートが終了。
   3時間にもおよぶ、素晴らしいコンサートに酔いしれながら、僕たちはこのコンサートの打ち上げパーティー会場のParagonというバーに向かいました。というのも、実は僕たちチープトラックが、この会場でパーティーのオープニングで30分間演奏することになっていたからです。
   パーティーには、チープの昔からの知り合いやメンバーの家族や親戚など、身内やコンサートにゲスト出演した、スマ・パンのビリー・コーガン、エバークリアのアートなど200人以上の人たちが来ていました。
   リックにチープトラックを紹介してもらい、緊張しながも楽しく演奏させてもらいました。そのあと、パーティーも楽しませてもらい、午前1時頃に僕たちはロックフォードを後にしました。そして、午前3時もかなりまわった後、ホテルに到着。帰国のための荷造りを済ませて、この夢のような5日間の出来事を思いながら、朝を迎えました。

   今回のトリックフェストは、信じられない出来事が多くて、僕にとって、とても思い出深いものになりました。25周年の記念すべき日に演奏させてもらう機会まで与えてくれた、チープトリックのメンバーやスタッフの皆さん、そしてトリックフェスト3でのチープトラックをサポートしてくれた、同じファンクラブ会員のみなさんには感謝してもしきれない思いでいっぱいです。本当にありがとうございました。